「不動産を相続したら確定申告はどうなるの?」
両親や親族が亡くなった際に、不動産を相続することは珍しくありません。その時に確定申告が必要かどうかで悩む方も多いでしょう。
不動産相続で確定申告が必要なケースは以下の通りです。
- 相続した不動産を売却して現金化した場合
- 収益が発生する不動産を相続した場合
- 相続した不動産を換価分割した場合
- 相続した不動産を国や団体へ寄付した場合
この記事では、不動産相続における確定申告が必要なケースについて詳しく解説します。最後まで読むと、確定申告の作成方法や注意点も理解できます。
不動産相続で確定申告に疑問を持つ方は、ぜひ参考にしてみてください。
不動産相続したら確定申告は必要なの?
結論から言うと、不動産を相続した際の確定申告は基本的に不要です。
確定申告は、1月1日〜12月31日の1年間の所得を申告して所得税を納めるためのものです。
相続で得た財産は所得と見なされないため、通常は確定申告を行う必要がありません。
ただし、以下のケースでは確定申告が必要になります。
不動産相続で確定申告が必要なケース4選
不動産を相続して確定申告が必要な場合は、以下の4つです。
- 相続した不動産を売却して現金化した場合
- 収益が発生する不動産を相続した場合
- 相続した不動産を換価分割した場合
- 相続した不動産を国や団体へ寄付した場合
それぞれについて詳しく解説していきます。
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相続した不動産を売却して現金化した場合
相続した不動産を売却すると、その売却益は「譲渡所得」となり、確定申告が必要です。
譲渡所得は、売却代金から売却にかかった費用や取得費を差し引いた利益になります。
譲渡所得が発生した場合、特別控除などの特例制度を利用することで、税金を抑えられる可能性があります。
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収益が発生する不動産を相続した場合
賃貸物件などの収益が発生する不動産を相続した場合、確定申告が必要です。
亡くなった被相続人の確定申告は相続人が代行し、所得税も支払わなければなりません。
– 亡くなった年の1月1日から相続発生日までは「被相続人」の収入として申告
– 相続発生日以降の収入は「相続人」の不動産所得として申告
相続人の不動産所得は、収益から管理費、修繕費、減価償却費などの経費を差し引いた利益になります。
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相続した不動産を換価分割した場合
換価分割とは、相続人が複数いる場合に相続した不動産を売却し、その代金を公平に分ける方法です。
相続した不動産の売却代金から取得費や譲渡費用などの経費を差し引いて利益が出た場合のみ、相続人全員が確定申告を行います。
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相続した不動産を国や団体へ寄付した場合
相続した不動産を国や地方自治体、公益法人などに寄付した場合、一定の要件を満たせば「寄付金控除」として所得税の控除を受けることができます。
寄付金控除を受けるには確定申告が必要です。
ただし、相続税の申告期限までに寄付した場合は、特例により相続税が非課税となります。
不動産相続の確定申告を行う3つの方法
不動産相続における確定申告の方法は以下の3つです。
- 税務署に行く
- 国税庁の確定申告書作成コーナーを活用する
- 税理士に依頼する
自分の状況に合った方法で確定申告を行いましょう。
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税務署に行く
税務署の窓口で確定申告書を作成することができます。相続に関する必要書類を持参して、税務署の職員に質問しながら申告書を作成しましょう。
ただし、2月16日〜3月15日の所得税の確定申告時期は税務署が混み合うため、早めに相談することをおすすめします。
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国税庁の確定申告書作成コーナーを活用する
国税庁のウェブサイトには「確定申告書作成コーナー」があり、オンラインで確定申告書を作成できます。
作成した確定申告書は印刷して郵送で提出することもできますが、「e-Tax」を利用するとオンラインで提出でき、手間を省くことができます。
「e-Tax」はパソコンだけでなく、タブレットやスマートフォンからも利用可能です。
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税理士に依頼する
不動産相続は手続きが複雑で専門知識が必要なため、個人での確定申告が難しい場合は税理士に依頼するのも一つの方法です。
税理士に依頼するための料金はかかりますが、安心して申告書の作成・提出を任せることができます。
特に、相続した不動産の賃貸事業を引き継ぐ場合などは、税理士に依頼することで手続きや税金面でもスムーズに進めることができます。
不動産相続で確定申告をする際の3つの注意点
不動産を相続して確定申告を行う際の注意点は以下の3つです。
- 確定申告の期限
- 相続税の申告
- 準確定申告
それぞれについて説明します。
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確定申告の期限
不動産相続に関連する確定申告の期限は、所得が発生した翌年の2月16日〜3月15日です。
確定申告を忘れたり遅れたりすると、無申告加算税や延滞税が課されるため、注意が必要です。
所得税の納付も期限内に行う必要があります。
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相続税の申告
不動産を相続した際には、相続税の申告を忘れないようにしましょう。
相続税の申告と納付は「被相続人が亡くなった翌日から10か月以内」に行う必要があります。
期日までに納税しないと、追徴課税を受けることになります。
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準確定申告
準確定申告とは、亡くなった被相続人の確定申告を相続人が代行することです。
必要な場合は、被相続人の住所を管轄する税務署へ申告と所得税の納付を行います。
準確定申告の期限は「相続開始を知った日(被相続人が亡くなった日)の翌日から4か月以内」です。
通常の確定申告の期限と異なるため、注意が必要です。
まとめ
この記事では、不動産相続における確定申告が必要なケース、作成方法、注意点について解説しました。
不動産相続で確定申告が必要なケース
- 相続した不動産を売却して現金化した場合
- 収益が発生する不動産を相続した場合
- 相続した不動産を換価分割した場合
- 相続した不動産を国や団体へ寄付した場合
上記のいずれかに該当する場合は、確定申告が必要です。しかし、不動産相続は複雑で不安を感じることも多いでしょう。
疑問点がある場合は、税務署や税理士に相談し、早めに対応することが重要です。確定申告だけでなく、「相続税」や「準確定申告」も忘れずに行いましょう。