「不動産を相続したら確定申告が必要なの?」
不動産を相続する際には、このような疑問を抱える方が多いでしょう。
不動産を相続する際には、相続税が発生します。また、特定の条件に該当する場合、確定申告と所得税の支払いが必要となることもあります。
不動産相続で確定申告が必要な場合
- 相続した不動産を売却して利益が生じた場合:譲渡所得
- 収益性のある賃貸物件や駐車場などを相続した場合:不動産所得
- 相続した不動産を寄附した場合:寄附金控除
この記事では、不動産相続における確定申告が必要な場合と関連する税金について解説します。不動産を相続した際の参考にしてください。
確定申告とは?
確定申告とは、1年間に得た収入から必要経費を差し引き、所得と納付すべき税金を計算して国税庁に報告する手続きのことです。確定申告を通じて報告する税金には、「所得税」「消費税」「法人税」が含まれます。
通常、会社員やパートタイム・アルバイトの所得税は企業の年末調整で税額が確定しますが、個人事業主は自ら確定申告を行って税額を計算します。しかし、特定の状況では会社員であっても自分で確定申告を行う必要があります。
不動産を相続したら確定申告は必要?
不動産相続では、基本的に確定申告は必要ありません。
家屋や土地などの不動産を相続しても、それ自体は所得税の課税対象にはなりません。不動産の相続は所得ではなく、「相続」や「贈与」として扱われるため、相続税や贈与税の支払いが必要になります。そのため、通常は確定申告を行う必要はありません。
しかし、以下のようなケースでは確定申告が必要となるので注意してください。
不動産相続における確定申告が必要な3つのケース
以下の不動産相続のケースでは、確定申告が必要となります。
- 相続した不動産を売却して利益が生じた場合
- 収益性のある賃貸物件や駐車場などを相続した場合
- 相続した不動産を寄附した場合
1. 相続した不動産を売却して利益が生じた場合
相続した不動産を売却し、売却益が発生した場合、その利益は「譲渡所得」として課税されます。売却価格から購入費や取得費を差し引いた金額が対象です。
2. 収益性のある賃貸物件や駐車場などを相続した場合
賃貸マンションやアパート、駐車場など収益を生む不動産を相続した場合、相続日から年末までに得た賃料は「不動産所得」として確定申告が必要です。
3. 相続した不動産を寄附した場合
相続した不動産を国や団体などに寄附した場合、「寄附金控除」を利用できることがあります。寄附金控除は節税につながるため、確定申告を忘れずに行いましょう。
不動産相続における確定申告の期限
不動産相続で確定申告が必要な場合の申告期限は、翌年の2月16日から3月15日までの期間です。
この期間中に、不動産相続によって発生した所得に対する確定申告を行う必要があります。確定申告の手続きは、税務署の窓口で直接申告書を提出する方法、郵送、またはインターネットを利用した電子申告のいずれかで行うことができます。
不動産相続における確定申告に必要な書類と手順
不動産相続の際に行う確定申告には、以下の書類が必要です。
- 確定申告書B
- マイナンバーカード
- 控除証明書
- 源泉徴収票
確定申告の手順
- 確定申告書に必要な情報を記入する
- 税務署へ書類を提出する
- 税金を納付するか、還付を受ける
確定申告は住所地を管轄する税務署で行います。確定申告書は税務署で入手し、記入して直接窓口に提出することが可能です。また、国税庁のウェブサイトから確定申告書等作成コーナーを利用して作成し、印刷した書類を提出または郵送することもできます。さらに、e-Taxを使用してパソコンやスマートフォンから電子申告を行う方法も便利です。
確定申告書の作成が難しい場合は、税理士などの専門家に依頼するか、税務署の確定申告期間中に設けられる相談窓口で相談することをお勧めします。
不動産相続における確定申告で発生した所得税の納付方法
確定申告後に発生する所得税の納付方法は、以下の通りです。
- 金融機関の振替納税
- e-Taxを利用した電子納税
- クレジットカードでの納付
- QRコードを利用したコンビニエンスストアでの納付
- スマートフォンアプリを使用した納付
- 金融機関の窓口での現金納付
- 税務署の窓口での現金納付
所得税の納付期限は確定申告の締切日と同じ3月15日です。
自動振替を設定している場合、通常4月中旬から下旬にかけて国税庁によって設定される振替日までに、指定口座に十分な残高があるか確認する必要があります。
納付期限を過ぎると「延滞税」が発生します。延滞税は遅延日数に応じて増加するため、追加の税金が発生します。納付期限までに忘れずに納税するように注意してください。
不動産相続したときの準確定申告とは?
準確定申告は、故人(被相続人)が生前に行うべきだった確定申告を、相続人が代わりに行う手続きです。
故人が亡くなると、自ら確定申告を行うことができなくなるため、相続人がその義務を引き継ぎます。準確定申告における所得計算の期間は、その年の1月1日から故人の死亡日までです。申告の期限は、死亡を知った日から4か月以内となっています。
不動産相続で発生する税金
不動産相続では、収益性に関わらず様々な税金が課されます。ここでは、登録免許税と相続税について説明します。
登録免許税
不動産相続の際には、故人(被相続人)から相続人への名義変更、すなわち相続登記が必要です。相続登記には登録免許税が必要で、税率は0.4%です。税額は以下の計算式で求められます。
- 登録免許税 = 固定資産評価額 × 0.4%
固定資産評価額は「固定資産評価証明書」で確認でき、1,000円未満は切り捨てられます。また、登録免許税も100円未満は切り捨てです。
登録免許税の納付は、金融機関で納付書を使用して行うか、相続登記時に登記申請書に収入印紙を貼付して提出します。
相続税
故人(被相続人)の財産を引き継ぐ際には相続税が発生します。不動産は高価な財産であり、特に土地の相続では相続税が高額になる場合があります。相続税には基礎控除が設けられており、計算式は次の通りです。
- 基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
課税価格の合計が基礎控除額を超えた場合に相続税が課されます。また、小規模宅地の特例を利用できる場合は、不動産評価額を下げることで相続税の負担を軽減できます。
まとめ
この記事では、不動産相続における確定申告が必要なケースと関連する税金について解説しました。 不動産を相続した場合、確定申告や準確定申告を行い、所得税を支払う必要があります。
不動産相続における確定申告が必要なケース
- 相続した不動産を売却して利益が生じた場合:譲渡所得
- 収益性のある賃貸物件や駐車場などを相続した場合:不動産所得
- 相続した不動産を寄附した場合:寄附金控除
確定申告が不要な場合でも、不動産相続には相続税や登録免許税などの税金が発生します。
不動産相続における確定申告や税金について、しっかりと確認しておきましょう。疑問点があれば、専門家や専門業者に相談することをおすすめします。