住み替えなどの理由で家などの不動産を売却する際に、まだローンの返済が残っているケースがあります。住宅ローンが残ったまま不動産を売却する場合、不動産会社が査定を断ることもあり、ローンの処理を適切に行うことが重要です。今回は、物件を売却する際に必要な手続きの方法や、家をはじめとする不動産の売却時の注意点について解説します。
不動産売却はローンを返済しないと基本的にできない
まず前提として、不動産を売却するにはローンを返済しなければならないということです。住宅ローンを組むと、その住宅に対して抵当権という権利が発生します。
これは、住宅ローンの返済ができなかった場合に、金融機関がその住宅を差し押さえて返済に充てる権利です。この抵当権があるため、住宅ローンは比較的低金利で提供されています。
不動産売却でローンを返済する流れ
不動産売却でローンを返済する際の主なステップは次の通りです。
- 金融機関への連絡
- 返済金額の確定
- ローンの一括返済
金融機関への連絡
最初に、住宅ローンを組んでいる金融機関に不動産を売却する予定があることを伝えます。次に、不動産売却が成立し引き渡し日が決まったら、その1か月前までに金融機関に引き渡し日を伝えます。すると、抵当権抹消手続きのための書類が送られてくるので、それを記入します。
返済金額の確定
同時に返済金額を確定させます。引き渡し日と同時に一括返済するため、その日までに発生する利息を加えた最終的な返済額を計算してもらいます。
ローンの一括返済
不動産の引き渡し日に金融機関で売主、買主、不動産会社が集まり、代金の支払いとローンの返済が行われます。これにより、手続きが完了します。
不動産売却のローン返済で注意すべきポイントとは?
不動産売却のローン返済で注意すべきポイントとして次の点が挙げられます。
- 住宅ローン減税への影響
- 売却額がローン返済額を下回った場合
住宅ローン減税への影響
住宅ローン減税は、ローン残高の一部が住民税から控除される仕組みで、最大13年間適用されます。しかし、住宅ローンが残っている不動産を売却すると、住み替え後の住宅ローンが控除の対象外となることがあります。
住宅ローン減税を受けるためには以下の条件を満たす必要があります:
- 居住用財産の3,000万円の特別控除を過去3年間に受けていないこと
- 所有期間10年超の居住用財産を譲渡した際の軽減税率の特例を過去3年間に受けていないこと
- 特定の居住用財産の買換え特例を過去3年間に受けていないこと
売却額がローン返済額を下回った場合
不動産売却で受け取った金額がローン返済額を下回る場合、オーバーローンの状態になります。この場合、以下の3つの資金調達方法が考えられます。
- 手持ち資金から出す: 最もシンプルで、手元の貯金から不足分を補う方法です。これにより、ローンが消滅し、不動産売却が可能になります。
- 住み替えローンを申請する: さまざまな金融機関が提供している住み替えローンを利用する方法です。これは、不動産売却後に残ったローンと新しい住宅ローンをまとめて一つにするものです。ただし、審査が厳しく、利息がつくためデメリットもあります。
- 任意売却手続きをする: 裏技的な方法で、ローンが残った状態で不動産売却を許可してもらう手続きです。この方法を使うと、住宅ローンを返済しながら不動産売却が可能です。ただし、信用情報に傷がつき新規でローンが組みにくくなる、金融機関に拒否されるリスクがあります。
まとめ
家などの物件にローン返済が残っている場合、金額の多さに関係なく、何らかの方法でローンを処理する必要があります。ただし、不動産の売却額が住宅ローンの残高を下回る場合は、別の方法で資金を調達し、売却後に残ったローンを返済する必要があります。
これらの点に注意しながら、家などの不動産売却に伴うローン返済を進めましょう。