不動産売却にはいくつかの注意点があります。不動産会社からアドバイスを受けることもありますが、自分で注意点を理解しておくことも重要です。
この記事では、不動産売却の注意点を時系列で解説します。
不動産売却前の注意点
まずは、不動産売却前に注意すべきポイントを確認しましょう。気をつけるべき事項が多いと感じるかもしれませんが、これらをしっかりと理解し実行することで、スムーズに売却活動を始められるはずです。
物件の状態を把握する
不動産を売却する際には、物件の状態をしっかりと把握することが重要です。以下のポイントを確認しておくことで、スムーズに売却活動を進めることができます。
- 土地の用途地域
- 建築基準法に基づく制限
- 隣地との境界線
これらの調査を代行してくれる不動産会社もあるので、自分で調べるのが難しい場合は、不動産会社に相談するのがおすすめです。
また、以下の点も確認しておきましょう。
- 建物の基礎や構造体の状態
- 水回りなど配管の状態
- 壁や床などのキズや汚れの有無
もし何らかの不具合が見つかった場合は、リフォームやリノベーションを検討するのも一つの方法です。物件の状態が良ければ、その価値が上がり、より良い条件で売却できる可能性が高まります。
ただし、大掛かりなリフォームやリノベーションは施工費用がかかり、赤字になる可能性もあるので注意が必要です。
ローン状況を確認する
不動産を売却するには、住宅ローンを完済し、抵当権を抹消しておくことが原則です。売却を始める前に、ローンの返済状況を確認しましょう。
ローンが残っている場合、売却益や貯金を使って一括返済を行う必要があります。
不動産の名義人を確認する
不動産の売却は、名義人でなければ行うことができません。そのため、売却前に不動産の名義人を確認しておくことが重要です。
名義人以外の人物が不動産を売却する場合、必ず名義人の同意が必要です。相続した不動産についても、相続登記を行い、不動産の所有者を明確にしてからでないと売却することはできません。なお、2024年4月からは、不動産を相続した場合、3年以内に相続登記を行うことが義務付けられました。
また、夫婦などで所有する共有名義の場合は、名義を一本化してから売却するか、共有名義人全員の同意を得て、立ち会いのもとで売却する方法があります。
複数の不動産会社を比較する
不動産売却の仲介業者を選ぶ際には、複数の業者に査定を依頼して比較しましょう。できるだけ良い条件で不動産を売却するためには、信頼できる不動産会社に依頼することが重要です。
この際、査定額だけに注目するのではなく、以下のポイントも確認することをおすすめします。
- 対応のスピード感: 対応が遅いと、売却活動が長引く可能性があります。
- 営業担当者の対応: 仲介業務の質は、営業担当者の能力や売主との相性に大きく影響されます。良い営業担当者に出会うことで、ストレスなく売却活動を進めることができます。
- 売買仲介の実績: 豊富な売買仲介の実績を持つ不動産会社は安心です。
不動産会社によっては、売買仲介の実績が多い場合や賃貸仲介の実績が多い場合があります。売買仲介の実績が多い会社は、良い条件で売却するためのノウハウや情報を豊富に持っています。
契約内容を確認する
契約内容の確認は非常に重要です。不動産売却には次のようなトラブルがよく耳にしますが、契約内容をしっかり確認しておけば防ぐことができます。
- 法外な仲介手数料を請求された
- 売却が決まっていないのに仲介手数料を請求された
契約内容を理解するだけでなく、仲介手数料の金額や支払い時期について明記されているかを確認しましょう。記載がなければ、追記を求めることが大切です。
なお、不動産売却時には次の2つの契約を締結します。
- 媒介契約: 売主が不動産会社に仲介業務を依頼する際に締結します。
- 売買契約: 不動産売買が成立した際に、売主と買主の間で締結します。
不動産売却中の注意点
次に、不動産売却のプロセス中に気を付けるべきポイントについて説明します。
内覧時の注意点:部屋の片付けと清掃
購入希望者が内覧する際には、できる限りきれいに掃除し、部屋を片付けておくことが重要です。同じ物件でも、掃除が行き届き整理整頓された部屋と、そうでない部屋では、前者の方がより良い印象を与えることができます。
特に、水回りや収納箇所、リビング、キッチンは内覧者にチェックされやすい部分です。これらの箇所を徹底的にきれいにしておくことで、購入意欲を高めることができるでしょう。
忙しくて掃除の時間がない場合は、ハウスクリーニングを利用するのもおすすめです。
広告や売却価格の見直し
売却活動を続けているのに購入希望者が現れない場合は、広告や売却価格を見直すことも有効です。
まず、広告に使用している写真が魅力的かどうかを確認しましょう。物件を検討する際、購入希望者はまず広告の写真を見て判断します。どんなに条件の良い物件でも、写真が魅力的でなければ「購入したい」「内覧してみたい」とは思わないでしょう。
広告を改善しても購入希望者が現れない場合、売却価格が市場に見合っていない可能性があります。不動産会社と相談し、思い切って値下げを検討することも重要です。
不動産売却後の注意点
不動産が売れて安心してしまうと、その後の注意点を忘れがちです。慌てることがないよう、事前に以下の注意点を確認しておきましょう。
確定申告を行う
不動産を売却して利益を得た場合は、確定申告が必要です。売却で得た利益は「譲渡所得」と呼ばれ、課税対象となります。譲渡所得は給与所得や事業所得とは別に税額を計算しなければなりません。したがって、不動産売却後は確定申告を忘れずに行いましょう。
ただし、売却しても利益が出なかった場合は確定申告の必要はありません。具体的には、売却によって得られた利益が、売却時に発生した諸経費を上回らなかった場合です。
住民税の申告と納付を行う
不動産売却で得た所得には、譲渡所得税や住民税が課税されます。したがって、住民税の申告を行い、譲渡所得税と住民税の納付を忘れずに行いましょう。
まとめ
不動産売却時の注意点を、売却前、売却中、売却後の3つに分けて紹介しました。これらの注意点を理解しておくことで、スムーズな売却活動が可能になります。また、場合によっては好条件で売却できるかもしれません。売却後の確定申告や納税を忘れるとペナルティが発生することもあるため、注意が必要です。
売却時には、良い条件で売ることだけでなく、これらの注意点も念頭に置いて売却活動を進めてください。